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東京高等裁判所 平成6年(行コ)125号 判決

東京都中央日本橋茅場町一丁目一一番二号

フジビル一六 五階

控訴人

荒木武

右訴訟代理人弁護士

山田二郎

同右

土屋東一

同右

味岡良行

同右

岩﨑淳司

東京都中央区日本橋堀留町二丁目六番九号

被控訴人

日本橋税務署長 伊藤公明

右指定代理人

新堀敏彦

同右

信太勲

同右

佐藤大助

同右

神谷信茂

同右

清水守

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の請求

(控訴人)

一  原判決を取り消す。

二  被控訴人が昭和六三年一〇月三一日付けでした次の各処分を取り消す。

1 控訴人の昭和六〇年分の所得税に対する更正のうち総所得金額八七三万八七一三円及び還付金額二二七万五一〇円を越える部分並びに過少申告加算税賦課決定(ただし、いずれも平成四年六月二二日付けの国税不服審判所長の採決により一部取り消された後のもの)

2 控訴人の昭和六一年分の所得税に対する更正のうち総所得金額五四五七万三九三三円及び納付すべき税額一五九〇万四八〇〇円を越える部分並びに過少申告加算税賦課決定(ただし、いずれも平成四年六月二二日付けの国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)

3 控訴人の昭和六二年分の所得税に対する更正のうち総所得金額三四二一万一二二四円及び納付すべき税額四二万九二〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定(ただし、いずれも平成四年六月二二日付けの国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)

三  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

(被控訴人)

主文同旨

第二 当事者双方の主張は、原判決「第二 事案の概要」欄記載のとおりであるからこれを引用する。

第三 証拠関係は、原審及び当審各記録中の証拠目録記載のとおりであるから、これらを引用する。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求は理由がないものと判断する。その理由は、次に敷衍するほか、原判決理由説示(「第三 争点に対する判断」欄)と同じ(ただし、一四丁裏九行目の「その点はさておき、」を削除し、一六丁表八行目の「作成されているほかには、」から同九行目末尾までを「作成されているほか、甲二八号証、乙一一号証により、張、遠藤名義で一成証券との間に現物取引があったことが確認できるに止まり、同人ら名義の信用取引口座が開設された事実はないことが認められる。」に改める。)であるから、これを引用する。

原審において取り調べた各証拠に、控訴人が当審において提出した甲二六号証ないし三〇号証並びに当審における控訴人本人尋問の結果及び証人千葉義昭(当審)の証言を加えて検討してみても、原判決の右認定判断を左右することはできない。右各証拠によれば、甲二号証ないし四号証の「証券金融関係の説明資料」は、控訴人において主に甲二四号証の一ないし六の「手控帳簿」をもとに記入したうえ、千葉義昭税理士において、各金融機関から入手した貸付元帳写等と照合するなどの作業を経て作成されたものと認められるが、これらの作成資料によっても、それらの株式取引が、張、遠藤の計算において行われ、控訴人が右両名に借入金を貸付け、その借入利息を控訴人が負担したとの事実を窺わせるに足るものとはいえず、結局これらの点についての客観的な証拠資料は見当たらない。

二  そうすると、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 町田顯 裁判官 村上敬一 裁判官中村直文は、転補につき署名捺印できない。裁判長裁判官 町田顯)

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